場の研究所メールニュース 2015年12月号

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場の研究所 定例勉強会のご案内

 

「〈いのち〉を居場所に与贈して〈いのち〉の与贈循環を生み出そう」

http://www.banokenkyujo.org/

 

〈いのち〉とは「存在を続けようとする能動的な活き」である。(清水博)

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■11月の講演会・勉強会

11月の勉強会のテーマは、「〈いのち〉医療」。

 

今回は清水先生から「職場で生まれる〈いのち〉の病とその治療」に

ついてのお話を頂きながら、参加者の皆さんと一緒に議論を深めてい

きました。

 

〈いのち〉の病についてのお話では、〈いのち〉の与贈循環によって

生み出される〈いのち〉のドラマの形式についての詳しいご説明があ

りました。

 

「活き活きとした居場所では、人々が居場所に〈いのち〉を与贈する

ことから始まる〈いのち〉の与贈循環によって〈いのち〉の自己組織

が起きている。

 

そこでは空間→時間→空間→時間・・・・と舞台と役者のような関係

で循環をしながらドラマが続いており、その循環によって生み出され

ている豊かな〈いのち〉に包まれることで安心して生きていくことが

出来る。この循環がうまくいかなくなることが、〈いのち〉の病気で

ある。」と先生は述べられます。

 

残念なことに現代の社会では、この〈いのち〉のドラマが家庭や学校、

仕事場といった身近な居場所においても次々と失われてきており、そ

のことが私たちの心や体を深く傷つけているのです。

 

今回のお話では、何がその〈いのち〉のドラマを止めてしまうか?

どうすれば、このほころびつつある居場所を回復させていくことがで

きるのか?

 

についての詳しいご説明を頂きました。中でも「過酷な職場に長時間

縛られて働かされている人びとが心身を壊しやすいのは、職場から余

裕のない時間的拘束条件に機械のように縛られて〈いのち〉の自己組

織に必要な内在的世界における空間的な拘束条件「一」を排除されて

しまうことが原因ではないかと思います。(〈いのち〉のアレルギ−

)」と述べられているところは、参加者の皆さんも、それぞれの体験

と重ね合わせて大変深く共感されており、そこから様々なご意見をお

聞きすることが出来たことは大変有意義であったと思います。

 

後半では「柳生新陰流と活人剣」をテーマに、柳生新陰流の中の、転

(まろばし)、合撃(がっし)など場の思想と関わる大変重要なとこ

ろについてのご説明を、それと併せて外在的世界と内在的世界の違い、

〈いのち〉の与贈循環、居場所の〈いのち〉の生成、〈いのち〉のド

ラマについてのお話を頂きました。

 

お話をお聞きしていると、柳生新陰流では場の理論や哲学が実践面で

実に見事に体現されており、武道の枠を超えてこれからの私たちが描

く共存在の技術を考える上でも、大変深く、重要な意味を持っている

ことを改めて感じさせられました。

 

また、このお話を皮切りに、大震災での場の思想がどのように生かさ

れてきたのか、これから企業の在り方はどうあるべきなのかというこ

とを、「共存在」というところから、ご説明を頂くことが出来ました。

少人数ながら参加された皆さんとなごやかな空気の中で活発に話し合

いが出来、素晴らしい会となりました。(本多直人)

 

 

■12月の講演会・勉強会

12月の勉強会は12月12日に開催される、共存在企業研究会の直後と言

うことも有り、「企業における具体的な問題に対して、どのようにし

て競争原理の壁を乗り越え、共存在原理をベースにした戦略の共創を

していくか?」に対してどのような議論がされ、課題は何かなど、そ

の分析について清水所長を中心に、サマリーをしたいと思います。

 

 

■清水博所長からのメッセ−ジ

 〈いのち〉はすべての生きものが持っている存在し続けようとする

能動的な活きである。

 

〈いのち〉の特徴としては、同じ居場所に生きていく生きものの〈い

のち〉は居場所の〈いのち〉を通じて互いにつながっている。

 

だから、居場所の〈いのち〉が病になると、その居場所の生きものも、

多かれ少なかれ、病にかかる。

 

例えば、学校で頻発する虐めも、人や動物を殺して分解したくなる子

どもも、子どもに暴力を振るう父親も、また職場で与えられる過重な

付加にあえいで身体を壊したり、がんを発生したりする人びとも、こ

のような〈いのち〉の病との関係がある可能性があると、私は考えて

いる。

 

人びとを襲うこのような〈いのち〉の病を治すためには、居場所の

〈いのち〉の病を治すことがどうしても必要になるであろう。

 

具体的に言うと、居場所の病は、居場所に生きていく生きものと居場

所の間の〈いのち〉の与贈循環が、何らかの原因によって妨げられて

いることによって起きるのである。

 

それは〈いのち〉の与贈循環が自己組織的に生成されるのに必要な空

間的拘束条件が、時間的拘束に取って代わられることによると、私は

推定している。

 

大企業を襲う従業員のモチベーションの低さも、〈いのち〉の病であ

ろう。

 

この場合、生きものによって居場所に与贈される〈いのち〉が迷走す

るのが、「〈いのち〉のアレルギー」である。居場所の内部にいろい

ろな紛争が生まれるのが」、それであろう。

 

地球も〈いのち〉のアレルギーにかかっている可能性がある。

 

 このように考えると、個人の〈いのち〉の病の治療に必要なことは、

まず時間的拘束条件を取り去ること、次に時間的な請願の緩い軽いタ

スクを自己に課すことによって、少しづつ〈いのち〉の与贈循環をつ

くるのに必要な空間的拘束条件づくりの力を取り戻していく必要があ

るであろう。

 

 

■勉強会のご案内

・テーマ:「共存在企業研究会の分析と方向性」

 

 清水所長と今回の研究会サポートの会員が中心となって皆さまとの

議論をしたいと思います。

 

日時:12月18 日(金曜)午前15時から20時ごろまで

 

場 所:東京都中央区日本橋小伝馬町16?20 小西ビル6階 場の研究所

 

参加費:会員…5,000円 非会員…6,000円

    申し込みについては、毎回予約をお願いいたします。

 (なお、飛び入りのお断りはしておりません。)

 

 

■12月開催の「共存在企業研究会」のご案内

 

共存在企業研究会   開催のご案内  

場の研究所事務局)

場の研究所は、日本ナレッジ・マネージメント学会の後援を得て、

12月12日(土)、共存在研究会を開催します。時代の大きな流れが、

「所有」から「存在」へ急速に移っています。それには共存在原理に

基づく新しい企業活動が必要です。

 

近代企業の柱である競争原理を乗り越えた共存在原理の企業活動は、

企業、地域社会、国家、生態系、地球が存続し発展していくために

社会的な共存在ネットワークを創出していくことであると考えます。

 

場の研究所の清水 博先生の基調講演をもとに、企業における具体的

な問題に即して、どのようにして競争原理の壁を乗り越え、共存在

原理をベースにした戦略の共創をしていくかを考えて行きます。

 

 

<日時、申し込み>

 

・開催日:2015年12月12日(土) 13:00〜18:00

・会場:エーザイ株式会社ホール/東京都文京区小石川 4-6-10

・会費:3000円

・申し込み

  場の研究所事務局へ、下記をご記入の上 メールにてお申し込み

ください。

 

1.会員の種別(個人・法人)※会員ではない方は記入しなくて結構です。

 

2.氏名

 

3.所属先

 

申込先E-Mailアドレス:mizutaniba@gmail.com

申込メールの件名は「12.12参加申込」と書いてください。

 

特定非営利活動法人 場の研究所

〒103-0001 東京都中央区日本橋小伝馬町16-20小西ビル6F

Phone:03-3664-0894 Fax:03-3664-2979

 

 

<プログラム概要>

第1回テーマ  共存在原理に基づく地域づくり(案)

 

13:00〜13:05 開会の辞

 ・高山 千弘氏(エーザイ株式会社 知創部 理事)

 

13:05〜14:00 基調講演

 ・清水 博先生(場の研究所 理事長)

   「共存在原理(仮案)」

 

14:00〜14:40 セッション1

・安井光夫氏(生活協同組合しまね  代表理事 理事長)

「お互い様運動(仮称)」

  

14:40〜15:00 休憩

 

15:00〜16:00 セッション2

 ・花堂 靖仁氏(日本ナレッジ・マネジメント学会 理事長)

 ・水野 貴之氏(ヤフー株式会社 社長室)

   「共感貢献型企業」

 

16:00〜17:50 セッション3

 ・ワークショップ:あしたのラボ(富士通)

          共存在に基づく地域づくり事例発表

 

閉会の辞

 ・前川 泰久氏(株式会社 本田技術研究所 社友)

 

※本プログラムは予定であり、内容が変更となる場合もございます。

 

 

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■編集後記

11月は「<いのち>の医療について」議論致しました。

 

実際に医療に携わる仙台の本多直人さまの話も大変重みのあるもの

だったと思います。

 

12月も、研究所で共存在企業研究会の結果を踏まえ、現在の企業に

於ける課題解決につながるディスカッションをしたいと思います。

 

今年も、師走になり、何かと皆さまお忙しいと思いますが、是非勉強会

にご参加頂き来年につなげて行きたいと思います。

 

参加が難しい皆さまには、良いお年をお迎えいただきたいと思います。

 

来年もよろしくお願いいたします。

(編集部)

 

 

特定非営利活動法人 場の研究所

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Email:info@banokenkyujo.org