場の研究所メールニュース 2016年5月号

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場の研究所 定例勉強会のご案内

 

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ホームページ:http://www.banokenkyujo.org/

 

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「〈いのち〉を居場所に与贈して〈いのち〉の与贈循環を生み出そう」

 

〈いのち〉とは「存在を続けようとする能動的な活き」である。(清水博)

 

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■4月の講演会・勉強会

 

◎4月9日に「第二回共存在企業研究会」が開催されました。

初回とはまた違ったテーマで講演や議論がなされました。

 

セッション1は『巡の環と考える新しい公共私』と言うテーマで島根県の沖の島・海士町を例にした信岡良亮氏のお話を頂きました。

 

「地域の未来は自ら築く」というスタンスのもとに、信頼関係を互いに保ち、ゆっくり小さく回せる生活が公・共・私をうまく連携することができると言う内容。

 

大変、具体的でわかりやすかったと好評でした。

 

また、清水博先生からは『居場所も共に共創する共存在企業』と言うテーマの講演でした。

 

青森の三内丸山遺跡の訪問のお話からで、縄文時代に想像を絶する約一万年という長い期間、彼らはその地に定住して持続できる社会を築きあげた。

 

ということは、「環境と人びとの関係を維持していく能動的なはたらき」である<いのち>の相互誘導合致の場がここにはこの間存在して居たのではないか?という興味深い内容で始まりました。

 

そして、今の社会でも、他の人を〈我と汝〉と見るか〈我とそれ〉と見るかということがこの相互誘導合致の持続に大きな違いを与える。

 

「それ」と見るときは、互いに同じ舞台に立っていないで、相手を外から一種の現象として見ることになるで、分析的な論理に片寄ってしまい、共創のために必要な共感の場は得られない。

 

企業でもこの考えが必要で、共創の力を生み出すためには同じ居場所に〈我と汝〉の関係で共存在することが必要である。

 

また、このことは認知症の患者さんに対しても同様で、「それ」というスタンスで対応すると、患者さんが心を開かなくなる。

 

認知症は自己が失われて行くこと。

 

すなわち自己が生きていく居場所を失っていくために、居場所に位置づけながら自己の存在を確認していく場所的自己言及という活きを失うことになる。

 

「自己の存在そのものが失われていく」という、深刻な不安にさいなまれていく。従って、ケアする側が同じ居場所に〈我と汝〉の関係で存在していることを、患者さんに気づかせることが重要になる。

 

という場所的自己言及の必要性を説明されました。

 

その後、セッションでは『多様な関係からあしたを創る』『共感がもたらす力』 などワークショップが実施され有意義な研究会となりました。

 

 

◎4月15日の勉強会は新事務所の(株)日本ソフトさんのミーティングルームで実施致しました。

 

内容は3月に議論した認知症の対応に加え、共存在企業研究会での話とあわせ「認知症と〈我と汝〉」と言うテーマで議論しました。

 

さて、勉強会の議論は、アルツハイマー型認知症の患者として苦しんでいるクリスティーヌ・ボーデンさん自身が書いた『私は誰になっていくの?』という本の紹介をベースにスタートしました。

 

認知症患者が自分を失う怖さや、自分がいなくなる怖さを、ケアする側も知ることが必要。

 

ボーデンさんの体験から、病気の進行によって認知的自己が失われても感性的自己が残る。

 

さらに感性的自己が失われても霊性的自己が残ることから、キリスト教の信仰に入った。

 

すると、自分と周囲の人びとの祈りによって自己の存在が支えられて、暗黒の世界に落ち込んでいくのではないことを自覚できた。

 

このことで、認知症の人生を前向きに生きることができ、病気の進行が遅くなったり、見かけの上では回復していくという姿勢を獲得でき、むしろ病気に感謝しているという趣旨が書かれています。

 

このことから、認知症患者の方の感性的自己を〈我と汝〉の関係で支えることが重要であることが分かりますが、またそればかりでなく、霊性的自己をどう支えればよいかが非常に重要になると思われます。

 

事実、ボーデンさんの強い主張もこの霊性的自己にあるように思われますし、また『認知症とは何か』を書いている小沢勲も霊性的自己の重要さを指摘しています。

 

そこで出された疑問は、宗教という形によらずに、認知症患者の方の霊性的自己を支えることができるか、また祈りをもたない宗教である浄土真宗では、この点をどう考えるかということです。

 

次回の勉強会では、この点を突っ込んで考えてみたいと思います。

 

企業に於けるマネージメントのあり方でも、職場における上司と部下の関係を如何に〈我と汝〉の関係として維持して行くことが重要です。

 

そして〈我とそれ〉の関係にしてしまわないことが、働く人々の心身の障害を防いで共創の力を生み出すために重要であると思われます。

 

これは認知症の患者さんのケアの問題の対応と同じかもしれません。

 

職場における人びとの関係づくりの理解を深めることも、勉強会では考えていきたいと思っています。

 

 

■ 5月の勉強会 

 

従来通り、第3金曜日の5月20日に開催致します。

 

・場所は新事務所です。

 

・大塚駅から徒歩10分程度です。

 

 (株)日本ソフトさんの1Fが場の研究所の新事務所ですが、勉強会は地下のミーティングルームをお借りして行います。

 内容は、「おたがいさまと居場所づくりの原理」と言うテーマで議論したいと思います。

 

尚、メールニュースの清水先生からのメッセージは掲載を致しません。HPのメッセージを見て頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。

 

■勉強会のご案内

 

テーマ:「おたがいさまと居場所づくりの原理」

 

日時:5月20日(金曜)15時から20時ごろまで

 

場所:特定非営利活動法人 場の研究所

 

住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1−24−3

 

Email:info@banokenkyujo.org

 

参加費:会員…5,000円 非会員…6,000円

 

申し込みについては、毎回予約をお願いいたします。

  (なお、飛び入りのお断りはしておりません。)

 

 

■編集後記

 

皆さま、場の研究所が大塚に移転し、2ヶ月が過ぎ

新事務所での活動がようやく軌道に乗って参りました。

 

是非、勉強会へのご参加よろしくお願いいたします。

 

 なお、新事務所の場所、電話などは下記の通りです

(新事務所情報はHPにも掲載済み)

 

 

特定非営利活動法人 場の研究所

住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1−24−3

電話・FAX:03-5980-7222

Email:info@banokenkyujo.org

ホームページ:http://www.banokenkyujo.org