場の研究所メールニュース 2017年3月号

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場の研究所 定例勉強会のご案内

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ホームページ:http://www.banokenkyujo.org/

 

 

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「〈いのち〉を居場所に与贈して〈いのち〉の与贈循環を生み出そう」

〈いのち〉とは「存在を続けようとする能動的な活き」である。

                         (清水博)

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2017年3月のメールニュースをお届けいたします。

今年も場の研究所のイベントへの参加をよろしくお願いいたします。

 

◎2月はテーマ:

「いのちの医療とその活用:居場所における共存在性を高めることによって、患者の免疫力を高めて内在的な病を治療する活動」と言うテーマで勉強会を行いました。

 

 15時から17時までは、初めて参加された方が3名ほどいらして場の研究所の活動内容をベースに、場の思想を絵柄ベースで前川理事が説明。清水先生が付け加えるという形で進めました。

内容は前回の紹介とラップするところもありますが、よりわかりやすい絵柄にして早め

の理解をして頂きました。要点を紹介しますと、外側から外観的に捉えている自己と、身体を構成している細胞の活きを内観して内側から捉える自己、そしてそれに関連して局在的自己と、遍在的自己のイメージ。更に、これらの考えに基づいて場に於ける人の存在を卵モデルで表現。最初は、混ざり合わない白身と、その後の白身の広がりと混ざり合いによる共有への変化。

そして即興劇モデルの役者と観客の関係についても説明しました。

 

17時からは、講師はエーザイ(株)の高山様の紹介の同社の社員の寺本 哲之様に体験的で感動的なお話をいただきました。参加者も多く、トータルで20名を越え充実した勉強会になりました。

寺本様は現在エーザイ(株)のメディスンクリエーション部門におつとめで、通称、筑波研究所での新薬の開発をされている博士号をお持ちの方です。

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説明内容:

 寺本様は、これまで脳腫瘍の手術を2回受けた患者の身でありながら、その患者を治療する医薬を創造する者として主客非分離的に考え、そして働くというhhc(ヒューマン・ヘルス・ケア)というエーザイの方針をご自身で実践しておられる方です。寺本様が場の研究所で話される動機は、場の研究所で唱えてきた「〈いのち〉の医療」の方針である共存在を高める(深化させる)ことによって、がんに対する免疫力を高めることができるという確信を、ご自身の体験を通じて得られているからです。そこでこのことを社会に広めること

を大きな目標にしておられるのです。

 

実際、この病を通して得た体験から、自分が多くの人々と共存在をしていて、その多くの人びとに支えられて生きていることを実感できて、本当に今が幸せであると感じている。また自分がこの世の中に存在していることが、それらの皆さんからも「あなたが居て

くれて良かった。」と感謝されることが、強いこころの支えになり、希望を生む。人には「愛、歓び、幸福」を感じると、「歓び、幸せ」に満ちた「こころ」の状態が免疫力を向上に導く。つまり、人間にはHappiness Sensorがあり、支え合って存在しているという「共存在感」

が高まると「歓び」がわき上がり、免疫力が高まる。

 そう考えると人だけではなくて、自然、動物(ペットなど)による癒やし。音楽による癒やしなども歓びをあたえるので、免疫向上効果があると考えられる。

 

〈いのち〉の医療の原理を絵柄にすべく前川理事がトライした絵を紹介。

◎最初は身体の内部環境は、病で不安定。自己治癒力が低下。

⇒周りの人が、あなたが居てくれて、本当に良かった。有り難う。感謝している。

(ドラマの中での価値ある役割)

⇒自分の存在が周りに喜ばれることで、自分も喜びを得る。存在に価値があると認識

することで自己治癒力が増す。

即ち、外部環境における共存在の深化の活きによって、相互誘導合致的に生まれる内部環境における活きが免疫力の強化となる。

 

以上を絵と文字で表した内容でした。

これには、寺本様も「その通りでわかり易い」というコメントを頂きました。

 

その後、清水先生が〈いのち〉の医療における免疫の理論の資料を配布して、簡単に説明されました。

 

主な内容:

 

★〈いのち〉の科学の免疫理論

  物理学の原理にもとづく免疫の理論から

  生物学の原理にもとづく免疫の理論へ

 

◎「静的な場」と「ドラマチックな場」

 ・静的な場:閾値以下の〈いのち〉の与贈

(→〈いのち〉の自己組織なし)

 ・ドラマチックな場:閾値を超える〈いのち〉の与贈が必要

  (→〈いのち〉の自己組織あり)

〈いのち〉のドラマが生まれる。共存在の深化(〈いのち〉

のドラマ)はドラマチックな場でのみおきる。

 

  (〈いのち〉の自己組織と与贈循環の二つはドラマチックな場に

おいておきる同一現象の二面;ドラマチックな場の時間に支配

される)

 

◎〈いのち〉の重層的な自己組織と与贈循環

  自己の外部環境と内部環境の相互誘導合致の裏ではたらく。

  自己の内部環境を外部環境に整合的に合わせると、その外部環境も

  内部環境に合わせて整合的に変化をし、両者が相互整合的な状態に

  向かって鍵と鍵穴のように、相互誘導合致的に変化をしていく。

     

◎免疫によるがんの自然治癒(免疫の生物学的原理)

 上の相互誘導合致の変化におきる「鍵」を変化させる力が免疫力に

相当する。免疫によるがんの自然治癒には、〈いのち〉の重層的な

自己組織と与贈循環ができる居場所の構造と、ドラマチックな場が

生まれる場づくりが必要。

 

◎地球の〈いのち〉の衛星

・存在の宇宙:自己をその内部に主客非分離的に含んだ宇宙

 〈いのち〉のドラマの舞台としての「〈いのち〉の星」地球を含む。

 自己はその「地球の〈いのち〉の衛星」であり、二つとない自己の

存在が、地球の〈いのち〉のドラマの進行に大切な寄与することは

大きな喜びである。

(そのためには内外両環境が相互整合的に合致していくことが必要。)

(自己は地球の〈いのち〉の引力圏にあり、消滅すれば地球に帰る。)

 

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ここで、先生が強調されたのは、共存在の思想が重要であること。

 

貴重な〈いのち〉をいただいて地球の上に生まれてきた自分という「存在」だけでなく、それと同様な他者の「存在」も大切にする。その存在には、主体性や願いがありますから、一緒に生きていることだけの「共生」という概念とは異なっています。政治的な意見の差や文化の差、社会的な地位の差、貧富の差、人種の差、信仰の差などよりも、主体的な存在とその存在を続けたいという願いがまず大切にされるのです。そしてさらにこの思想を、可能な限り類と種を超えて、地球に広げていくのです。

 

この共存在思想を受け入れると、自分の存在が他者に喜んでもらえることが自分の生き甲斐になり、大きな喜びになりますから、互いにその様に振る舞い、また努め合う「共存在の深化」という活きが人びとの集まりに生まれてきます。その共存在の深化のために必要なことは、自分たちが存在する居場所へ、自分の〈いのち〉を与贈することです。

 

ここで〈いのち〉とは、すべての生きもの(生活体)がもっている「存在を続けようとする能動的な活き(はたらき)」のことであり、それは生きものの本能的とも云えるものです。生きものは〈いのち〉をつくりながら生きていきますから、〈いのち〉を居場所に与贈

しても、死ぬことはありません。居場所に〈いのち〉が生まれると、逆に居場所からその〈いのち〉の与贈を受けて、生き生きと生きていくことができます。このことを「〈いのち〉の与贈循環」と言います。(免疫力は居場所から受ける〈いのち〉の与贈という性質をもっています。)居場所に〈いのち〉の与贈循環が生まれると、居場所の場が一変します。それまでの動きのない静的な場が、動きのある「ドラマチックな場」に変わるからです。そして生きものが「役者」となって、居場所を「舞台」とした「〈いのち〉のドラマ」を生みだすために、活気が出てくるのです。

 

複数の生きものがドラマチックな場で共存在していくためには、互いの活きがどこか異なっていて、全体として意味のあるドラマを生みだしていくことが必要です。人間の身体は約60兆個という多数の細胞からできていると言われていますが、この莫大の数の細胞は、それぞれ互いに異なる活きをしながら共存在しています。

 そしてその居場所としての身体に〈いのち〉の与贈循環が生まれて〈いのち〉のドラマが続いていきます。そのドラマによって人間が成長していくのです。

 

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このあと、Q&Aとなり、多くのディスカッションができました。

 

今回は、初めての方も意見を出していただき、実際の障害を持つお子さんや人をサポートしている参加者からも、熱心な質問や自分の進めている方向性に対する議論も出来ました。大変、密なディスカッションとなり有意義な勉強会でした。

ご参加頂いた方々有り難うございました。

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■勉強会のご案内

テーマ:仮題「人工知能(AI)と場の思想」

日時:3月17日(金曜)17時から19時30分までの予定です。

講師は元NEC中央研究所のエンジニアで、脳型コンピュータの研究をされた方です。現在話題になっているAIについての将来性と場の思想についてお話いただく予定です。

清水先生からのコメントをいただきながら進めたいと思います。

 

従来通り15時からワイガヤ的に議論を進めて、17時より勉強会を行います。

 

場所:特定非営利活動法人 場の研究所

住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3

Email:info@banokenkyujo.org

 

参加費:会員…5,000円 非会員…6,000円

 

申し込みについては、毎回予約をお願いいたします。

  (なお、飛び入りのお断りはしておりません。)

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■編集後記

 今回は、寺本様に貴重な体験と共存在の大切さをわかりやすく説明していただきました。存在している事に感謝し、周りに感謝される事。

これは、健康のベースとなる免疫に効果があるとう内容も、大変興味深く聞いて頂けたと思います。

 

 次回の勉強会は、従来通り第3金曜日の3月17日(金曜)に開催いたします。テーマが話題のAIについてですので、興味のある方も多いと思います。ご参加をよろしくお願いいたします。

 

特定非営利活動法人 場の研究所

住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3

電話・FAX:03-5980-7222

Email:info@banokenkyujo.org

ホームページ:http://www.banokenkyujo.org

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追伸:

追加情報として、下北沢「ダーウィンルーム」でのイベント:

「生命を捉えなおす研究会」で3月11日(土)にゲストとして清水先生が参加されます。テーマは「続・二十一世紀の科学者たち」。

申し込み、情報については下記のへご連絡ください。

 

◆ お申込み先

好奇心の森「ダーウィンルーム」担当:清水久子

〒155-0032 東京都世田谷区代沢5-31-8

tel & fax :03-6805-2638 mail:darwinroom@me.com

営業時間:12:00 - 20:00/不定休あり

http://www.darwinroom.com/

 

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