場の研究所メールニュース 2017年8月号

 

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場の研究所 定例勉強会のご案内

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ホームページ:http://www.banokenkyujo.org/

 

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「〈いのち〉を居場所に与贈して〈いのち〉の与贈循環を生み出そう」

〈いのち〉とは「存在を続けようとする能動的な活き」である。

                         (清水博)

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2017年8月のメールニュースをお届けいたします。

 

◎7月は7月15日(土曜)にダーウィンルームにて清水ゼミを開催。

テーマは「天才の創造的な思考の方法について」。

約30名の参加者で、6時~9時と議論も含め活発なゼミとなりました。

今回のテーマの具体的な話の前に、先生から、まず考え方には三つのルールが有ると説明がありました。

①ルールを与えられて考える

②ルールを発見しながら考える。⇒主語的思考(私小説的):科学者

③ルールを創りながら考える。⇒述語的思考:冒険家、

この③が天才的思考のベース。

では、当日の清水先生の説明資料の一部を紹介します。

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◎天才の創造的思考

 

天才:文化的新大陸を発見し、そこに新しい文化の創造を開始する。

   (既存の大陸における文化の創造ではない)

   感情の使い方に秘密がある! → 感情が〈いのち〉の創造的

な活きにつながっている

 

天才と秀才とは次元が異なる:

 カント:天才はロゴス(理)とパトス(情)を統合する構想力を持つ。

 三木清:創造は形をつくる「構想力の論理」によってなされるが、構想力の論理はロゴス(理)とパトス(情)を統合する論理。

 清水博:ロゴス(理)とパトス(情)を統合する構想力の論理は、鍵と鍵穴が相互に誘導し合って合致するようになされる。

 

生物進化としての天才:

人生の舞台における〈いのち〉のドラマの突然変異として出現する。(自分自身の人生の問題にしなければ、生物進化はおきない。また、その進化の方針、情熱、勇気も生まれない。)→ 人生のドラマにはロゴス(理)とパトス(情)が必要。

身体(感性)と脳(知性)との協働

 

◎創造の場所論

 

西田幾多郎:ミケランジェロのダビデの像

 頭の中に創ったイメージにしたがって彼は大理石を刻んだのではない。 大理石も、このように彫ってくれと、彼を導いたのである。“物来たって、我を照らす”→ 創造は絶対者の自己限定によっておきる。

 

逆対応 = 無限大の絶対者が自己否定をして、向こうから有限の我を包んでくる。〈いのち〉の与贈循環の形でおきる無限大の居場所としての絶対者と有限の生きものの相互誘導合致であり、そのためには、我が〈いのち〉を惜しみなく居場所に差し出して、問題を純化すること(鍵の形を限定すること)が必要である。

 

絶対者:あらゆる生きものの存在に、逆対応的に新しいルールを生みだす無限の可能性を含んでいる無限大の居場所の〈いのち〉の暗在的な活き。重要なことは、生者のみならず、あらゆる死者の〈いのち〉のドラマの経験が蓄積されていることである。

 

死と創造:居場所において死んだすべての生きもの〈いのち〉が蓄積されて暗在的な時間の骨格となって、その存在を表現している。

そしてその暗在的な時間が居場所の歴史的時間となって生きている生きものの〈いのち〉の活きを位置づけていく。〈いのち〉のドラマとは、この歴史的時間に生きものの〈いのち〉の活きを位置づけていくことである。それは統合された死者の存在に位置づけられた

生者の生の表現でもある。創造とは、統合されながら蓄積されていく死の暗在的な活きに位置づけられた生の新しい表現である。

 

 

◎創造的能力を伸ばす教育

 

新しい感覚の必要性:

 新しい感性(パトス)→

 初めての問いかけ(問題意識)→

 新しい知性(ロゴス)→

 新しい構想(形態)

  「問題を背負わなくなると、学問が注釈的になる」(安田理深)

 

愛される才能

 子どもの直感は〈いのち〉の直感 → 子どもは天才

 天才の心には子どもが住んでいる

 愛される才能は愛を求めている

 

型にはめない教育

 感情を豊に、素直にする。

 

豊かな感情は論理に魅力を与える:

 天才的な創造で必要なのは堂々とした真っ直ぐ素直な感情の活き

 → 妙にうがつことなく、現象を真っ直ぐに深く読む。

 → 闇夜に一人ボートで先に大陸があることを信じて漕ぎ出せるか?

 素直で敏感な真っ直ぐな明るい心

 → 「物来たって、我を照らす」(西田幾多郎)

 → 天から来るロゴスの声を聴いて、暗い道を真っ直ぐに進んでいく。

 

潔さから始まる内在的冒険:過去における限界を潔く認めて、

 自分を捨てることで見えてくるものがある。しかし、素直にならなければ、

なかなか自分を捨てきれない。

   過去の〈いのち〉のあり方に問題がある

 → どんな〈いのち〉の課題が存在しているか? 

  その発見がなければ出発できない。

   身を捨てて新しい冒険の旅へ

 → 〈いのち〉の直感的創造が生まれる。

   問題の核心を掴む。そしてそれを言葉で表現する

 

清水先生コメント:

科学技術を生んだ西洋の近代文明は、自我意識によって組み立てられた明在的な文明である。科学的な因果律は意識が感じる過去→現在→未来という時間の明在的な流れである。しかし、これだけが全てではない。それは、人間には無意識のうちにはたらき続けている身体があり、その身体の活きは場所の活きにつながって意識の活きを包んで、影響を堪えているからである。

その時間の流れは暗在的であるが、過去→未来→現在という流れをつくり出している可能性がある。西田幾多郎の「物来たって、我を照らす」は、創造はこの暗在的な時間の流れと、明在的な時間の流れとが相互誘導合致するところに生まれると言っているとも理解できる。

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以上、西田幾多郎の少々難しい考え方の内容もありましたが、いろいろ例を挙げた説明や、Q&Aでの情報交換で理解度は上がったと思います。

 

■8月は場の研究所の勉強会は夏休みで中止いたします。

9月は場の研究所 主催で「場のシンポジウム2017」を開催します。

(協賛:日本ナレッジ・マネジメント)

そのため、勉強会は開催致しません。

 

◎シンポジウムのテーマ:『与贈が開く、日本的創造の世界』

講演内容その他

1. 『日本的創造の原理としての与贈と逆対応』  

      NPO法人場の研究所 所長 清水 博

2. 『日本料理の創造的深化』   

      料理研究家 土井善晴氏

3. 『創造的コミュニティ創り:おたがいさま・おかげさま』  

      エーザイ株式会社、知創部執行役員 高山 千弘氏

4.【パネルディスカッション】 清水 博・土井善晴・高山 千弘 

 

日   時:2017年9月16日(土曜)13:30-18:00

場   所:エーザイ株式会社 大ホール(東京都文京区小石川4-6-10)

参加費:一般 5,000円 会員 3,000円※ 学生 2,000円

申   込:担当:平丸 陽子  

メールアドレス: bahiramaru@gmail.com  よりお申し込みください。

なお、参加の方は

1 お名前

2 参加人数

3 ご住所・お電話番号

4 参加(会員・一般・学生)

お名前・ 参加人数・ ご住所・お電話番号・ 会員/一般/学生

をお知らせください。

先着200名となりますので、よろしくお願いいたします。

 

なお、シンポジウムに先立ち、場の研究所の総会を12時から開催予定です。会員の方は、是非ご参加下さい。こちらも参加の方は、場の研究所へ事前連絡をよろしくお願いいたします。

 

■編集後記

 今回は、ダーウィンルームさんでの、第2回 清水ゼミを開催。

従来通り、多くの皆さまに参加いただき、天才の考え方について、場の論理からのとらえ方で、清水先生より説明がありました。従来の場の論理と西田幾多郎の哲学的なもののとらえ方を理解する良い機会だったと思います。

 

なお、8月は夏休みということで勉強会はお休みさせていただきます。

9月は勉強会の代わりに場の研究所のシンポジウムを9月16日(土)にエーザイ(株)にて開催予定です。

テーマは『与贈が開く、日本的創造の世界』です。

今回は、場の研究所に時々参加頂いている、料理研究家の土井善晴様に講演をいただきます。日本料理と場の考え方についてお話が聞けると思いますので、ご期待ください。

また、エーザイ(株)の高山千弘様に、今後の創造的コミュニティ創りについて、お話をいただきます。

是非、ご参加のほど、よろしくお願いいたします。申し込みは、既に上記いたしましたが、場の研究所の平丸までお願いします。

メールアドレス: bahiramaru@gmail.com 

 

 

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