場の研究所メールニュース 2017年12月号

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場の研究所 定例勉強会のご案内 

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  ホームページ:http://www.banokenkyujo.org/ 

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「〈いのち〉を居場所に与贈して〈いのち〉の与贈循環を生み出そう」 

〈いのち〉とは「存在を続けようとする能動的な活き」である。 

                         (清水博) 

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2017年12月のメールニュースをお届けいたします。 

◎11月はお知らせしたように、11月18日(土曜日)下北沢の「ダーウィンルーム」において、清水ゼミというかたちで、勉強会もあわせて行いました。

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清水先生の講演内容の抜粋を紹介します。

テーマ:自己のあり方と意識

 

まず、所有の時代から存在の時代へという文明の大きな転回がおきている点から、

★エールリッヒ・フロム:From Having to Being

を例に説明。それを次のように捉えることができる。

①所有の時代:(人間を個体と見て)平均値とその差異で表現、その数で社会を表現するという資本主義経済を支える人間観

②存在の時代:居場所に位置づけられた多様な生活体として表現

(ドラマのルールと時間を創出し、それに関係づけて存在していく。)

すなわち、個体から生活体への時代となってきている。

◎場所の居場所化⇒個体の内部に、存在の場所を映す

◎生活体 = 個体+居場所 

            (相互整合的で重層的に開かれた構造)

「 生活体は〈いのち〉を持って居場所に生活していくものである。」

 

ということから、生活体では「場所の居場所化」が起きている。個体がその〈いのち〉を自己が存在している場所に与贈することで、その場所が個体の内部に主客非分離的な居場所として意識の内に映され、個体の存在を根本的に変える。

★自己の生き方を決めるのは自己のあり方であり、その自己のあり方を決めるのは自己の意識であり、そして、その自己の意識を決めるのは、⇒自己が生きている場所への自己の〈いのち〉の活きの与贈である。

(与贈の特徴は意識そのものを変えるということです。)

★自己のあり方と意識について全体をまとめると

:認識から始まって認識を超える」ということは、「認識の時代を越えて意識の時代へ」ということです。

 (認識では意識そのものが変わるということはありません。)

 

認識から存在への変化ということは、「極彩色のカラー写真に満足していた時代から、しっとりとしたモノクロ写真にさらに心を引かれる時代へ」ということであり、そのことは大きく言えば、「科学技術から始まって科学技術を超える時代へ」ということに対応しています。

この心の変化は、私たちの関心が「持つことから在ることへ」と変わっていくことによっておきるのです。それは認識のレベルで満足していた私たちの心が、意識のレベルまで深まらなければ、もう満足できなくなっていることによっておきてくるのです。

認識から存在へという変化にともなって、私たちの中でおきるこの心の大きな変化の旅をする切符に相当するのが与贈です。

                        

したがって、存在が重要な問題になるような場合、例えば私たちが大きな災害に遭って、何かを持っていることより、自分自身や周囲の人々の存在が問題になるような場合に、与贈が大きな力を発揮するのです。

 

また高齢になって、もう多くのものを持っていることよりも、自分自身の人生を大切にして生きたいと思う人々がたくさんおられますが、そのような場合に生き甲斐のある日々を与えてくれるのが与贈です。また与贈は精神を安定させて、老後の健康を維持する活きもします。(認知症の予防としても、ケアとしても、効果があるのではないかと考えています。)

 

キーワードは:

★情報の〈いのち〉への還元

「持つこと」から「在ること」へ

・持つこと → 対象の認識 → 情報化

情報がつなぐ人間関係:私と彼(彼女)

・在ること → 存在の確立 → 居場所

〈いのち〉の活きがつなぐ人間関係:私とあなた

★情報化社会の二極化:

・人間と社会的存在者が情報でつながって、社会が機械的になり、百科事典化して、「生きもの」としての温度を失う。

・情報化が進めば、「AIに支配される社会」など、在ることへの不安も広がる。

 ⇒人びとは社会に温度を求めるようになり、それが未だあった「昭和という時代」を懐かしく回想する。そこには「私とあなた」 への思いがある。

★情報の〈いのち〉への還元:

・社会を温かくするためには、情報化した諸関係を〈いのち〉の活きに還元していくことが必要。その方法が居場所となる社会への〈いのち〉の与贈。

・その与贈によって社会に生まれる〈いのち〉の与贈循環が温度を上げる。

★これから必要なのは与贈循環:

  「私と彼ら」→「私とあなたの集まり」

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以上のような内容の講演で、今の時代を与贈で、より良いものへ持っていけるのでは、ないだろうか?というお話でした。

(文責:場の研究所)

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■勉強会のご案内

日時:12月15日(金曜日)大塚の場の研究所で行います。

17時から19時30分までの予定です。

テーマ:仮題「勘における場の活きについて」

清水先生にお話をしていただきます。

参考文献:黒田亮『勘の研究』、『続 勘の研究』(講談社学術文庫)

従来通り15時からワイガヤ的に議論を進めて、17時より勉強会

を行います。

 

場所:特定非営利活動法人 場の研究所

住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3

Email:info@banokenkyujo.org

 

参加費:会員…5,000円 非会員…6,000円

申し込みについては、毎回予約をお願いいたします。

  (なお、飛び入りのお断りはしておりません。)

■編集後記

11月はダーウィンルームでの清水ゼミとドッキングした形で勉強会を実施いたしました。多くの方に参加いただき、感謝しております。Q&Aも多く、なかなか充実したイベントだったと感じました。

12月は従来通り、15日第3金曜日に場の研究所で開催いたします。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

特定非営利活動法人 場の研究所

住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3

電話・FAX:03-5980-7222

Email:info@banokenkyujo.org

ホームページ:http://www.banokenkyujo.org