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場の研究所メールニュース 2019年02月号

このメールニュースはNPO法人「場の研究所」のメンバー、
「場の研究所」の関係者と名刺交換された方を対象に
送付させていただいています。
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場の研究所 定例勉強会のご案内 

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  ホームページ:http://www.banokenkyujo.org/ 

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「〈いのち〉を居場所に与贈して〈いのち〉の与贈循環を生み出そう」 

〈いのち〉とは「存在を続けようとする能動的な活き」である。 

                        (清水博) 

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■2019年2月のメールニュースをお届けいたします。 

 

◎2019年1月の勉強会は「場の研究所」で1月18日(金)
15時から19時30分まで開催しました。15時からワイガヤ的に
議論を進めて、従来通り17時より勉強会となりました。

まず、15時からは、スタッフの小林 剛さんが中心となって、
NHKの「100分で名著」という番組テキスト「スピノザ・エチカ」

の内容を具体的な内容を一部紹介しながらワイガヤを行いました。

350年も前のオランダの哲学者スピノザが書いた著書「エチカ」

には「自分の存在について」の考えが書いて有り、主に

スピノザの主要概念である「コナトゥス」(ラテン語)に
ついて議論しました。この言葉は、直訳すると「努力」という

意味ですが、彼の考えでは、もっと存在に重きを置いていて、

「自分の存在を維持しようとする力」という意味です。

この概念は、清水先生の〈いのち〉に近い概念ということも
あり、勉強会でも紹介することにしました。今回も小林 剛さん
からは、完全理解を目的とするのではなく、このような考え

に触れることから始めることしました。


●小林さんコメント:

「解くべき問題」の発見のために。

テキストに書いてあることが「よいこと」であるとか、「ために
なる」とか、「思考の縛りを解き放つヒントが満載だ」とか、
そういう話にしたくないなぁと思いました。

今、自分自身が、ほんとうに困っていることや考え続けている
ことと、テキストに出てくることばを結びつけたとき、自分の
中に何が起こるのか、そういう話ができたらいいな、と思い
ました。

 

例えば「コナトゥス」。

自分の存在を維持しようとする力、のこと。

これをことばで理解するのではなくて、自分のコナトゥスが
感じられた体験って何だったろうか?あっただろうか?

そういうことを具体的に話して、そして、聞くことで、改めて
経験として振り返りあう時間を心がけました。

この話し合いの時間が、(それぞれ)自分にとって、解くべき
問題の発見の手がかりとなったらいいなぁと思っています。

 

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★17時からの清水先生による勉強会

12月に議論した、場の思想をよりわかり易く説明していきたい

ということから「場をめぐって」という内容につづき、仮題
「時間の共創」を予定していましたが、「〈生のOS〉に立つ」

というテーマでお話が始まりました。内容として「時間と共創」
についても触れています。

前回、場の理論では、即興的な〈いのち〉のドラマの形を具体的
な形をしたモデルとして「おでんモデル」が説明されましたが、

〈いのち〉のドラマが大変分かり易くなったことを踏まえて、
もう少し論理的な説明がされました。

 

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テーマ:〈生のOS〉に立つ

デカルトの「我思うゆえに我あり」から始まって、我とそれ以外
の自然をどう見るかということが議論になっていきました。
「生」というものは、我と自然をデカルトのように分離しないで
共に含むものですが、これが〈いのち〉の科学の出発点ですが、
スピノザの考えは我と自然をその内部とする無限に大きな神
から出発したために、これと実質的に近いのです。

 

デカルトの分離的な思想の上に科学が生まれて、近代文明の
骨格をつくって来たために、科学技術が発展していけばいくほど、
人間の存在は自らつくった近代社会から追い出されていきます。
皮肉な見方になりますが、人々をできるだけ多くその〈いのち〉
の居場所から追い出していく科学技術を進化発展させることに
よって、現代の国家や経済は発展していくのです。この方向を
どう見直すかが重要です。

 

近代科学の主客分離性が人間の生活に徹底していくのが、

現在我々が生きている社会だと思います。この主客分離性の上
に立って、人々が求める自己の便利と所有がつくり出してきた
空間や機能から、主体自身がはじき出されて本来の居場所を
失いながら、その空間や機能にすがりつくようにして生きて
いかなければならないという存在矛盾があります。

 

そこで、現在、人間に残されている自由度としては、この
主客分離的な文明の流れから、個人が転げ落ちるようにして身
を外してその居場所を見出して、その主体を回復することだけ
であり、そして次にそのように主体性を回復した人々がつながる
ことです。その本質は文明が創り出してきた空間を超えておこ
なわれる「時間の共創」なのです。

 

デカルトから始まる主客分離的なOSとは異なった「生」その
ものに立脚した主客非分離的なOSとしてのスピノザの哲学の
解説としては、ドゥルーズ『スピノザ 実践の哲学』(平凡社)
がおすすめだと思います。そう思うのも、また生きものをモノ
から理解しようとするデカルト主義的な現代の生命科学に対して、
生きものを「生」から出発して理解する目的で、その出発点
としての〈いのち〉(存在を継続して行こうとする能動的な活き)
が発見されて、そこから「〈いのち〉の科学」が考えられてきた
からです。この〈いのち〉がコナトゥス(本質=自分の存在を
維持しようとする力)に結びつけて世界を深く理解しようとした
スピノザのOSと本質的に共通しているからです。

 

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〈いのち〉に立つということは、社会の原理に立つと言うこと
ではありません。人間の社会を超えて、もう一歩深く生の世界
へ進み、生きものの生の原理に立つということです。その深さ
まで進んだときに、〈いのち〉という存在を継続していこうと
する生きものとしての能動的な活きに出会うのです。人間にも
〈いのち〉があるように、その人間を構成している莫大な数の
細胞にもそれぞれの〈いのち〉があるのです。

 

〈いのち〉がその生きものの存在を継続していこうとする
能動的な活きであると考えることは、(これまで論じてきた
ように)存在の四次元空間のなかで未来への方向性をもって
能動的に活くことを意味していますから、〈いのち〉はこの
四次元空間におけるベクトル的な方向性のある活きであると

いうことを意味しています。

 

そこで問題になるのは、ある一つの存在空間に二つの生きもの

がいるときに、その「〈いのち〉のベクトル」の間にどのような
関係が生まれるかということです。その〈いのち〉のベクトルが
互いに逆方向に向いている生きものが同じ場所に存在すれば、
生きものは生存競争をすることになります。しかし人間を構成
している細胞たちのように、その〈いのち〉のベクトルが同じ
方向に向いているなら、人間という存在の居場所をつくって
一緒に生きていくことができます。

 

混み合う駅のプラットフォームから出口へ向かうエスカレータ
に乗るときに、人々が外から行列に割り込んでくるのをある
程度許しているのは、居場所の〈いのち〉のベクトルに、個体
としての自己のベクトルを合わせて、プラットフォームという
居場所にける矛盾的自己同一「一即多、多即一」をつくっている
のです。

 

しかし、そのようにしてプラットフォームに自己組織される
時間的秩序を無視するように、横から自分の直前に突然割り
込んでくる人に対して怒りを覚えるのは、自己の〈いのち〉の
ベクトルが否定されることに対する自己の〈いのち〉の反応では
ないかと思われます。つまりこのことは、莫大な数の細胞たちの
〈いのち〉のベクトルを、矛盾的自己同一的に統合して、私と
いう生きものの〈いのち〉のベクトルが生まれていることを意味
しているのです。そのベクトルの方向が否定されるのです。

 

また、このように、居場所全体に「〈いのち〉のドラマ」が
時間的秩序として自己組織されているかどうかを、居場所に
矛盾的自己同一が成立しているかどうかの判断に使うことが
できるという話がなされました。

 

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■2019年2月の勉強会のご案内

1月も従来通り、第3金曜日に大塚の「場の研究所」で勉強会
を開催いたします。
◎日時:2019年2月15日(金曜日)
    15時から19時30分までの予定です。
(従来通り15時からワイガヤ的に議論を進めて17時より
 勉強会を行います。)

◎勉強会テーマ:仮題「〈いのち〉に立つと見えてくるもの」を

実施いたします。

 

場所:特定非営利活動法人 場の研究所
住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3
Email:info@banokenkyujo.org

参加費:会員…5,000円 非会員…6,000円
申し込みについては、毎回予約をお願いいたします。
  (なお、飛び入りのお断りはしておりません。)

■編集後記
 今年はじめての勉強会でしたが、15時から行ったスピノザの
著書「エチカ」の紹介もあり、勉強会での理解が深まったと
思います。また、清水先生からは、より具体的な説明があり
わかり易かったと感じました。
 2月は、基本的に続きとなりますが、先行して15時から、

勉強会の先行議論をする話も出ておりまして、そこで理解が
しにくい点などを明確にして、勉強会でさらに、深く議論する
ことを考えています。2月はそれを試行しようと思います。

 

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定非営利活動法人 場の研究所
住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3
電話・FAX:03-5980-7222
Email:info@banokenkyujo.org
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