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場の研究所メールニュース 2019年11月号

このメールニュースはNPO法人「場の研究所」のメンバー、「場の研究所」の関係者と名刺交換された方を対象に送付させていただいています。
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場の研究所 定例勉強会のご案内 

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  ホームページ:http://www.banokenkyujo.org/ 

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「〈いのち〉を居場所に与贈して〈いのち〉の与贈循環を生み出そう」 

〈いのち〉とは「存在を続けようとする能動的な活き」である。 

                        (清水博) 

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■2019年11月のメールニュースをお届けいたします。 

 

◎10月は2019年10月18日(金曜日)に「勉強会」を開催しました。

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場の研究所|勉強会は従来通り、15時からワイガヤ的に推進し、「与贈と非分離」

について考えました。実際は哲学カフェのような時間になりました。中心とな

って進めたメンバーのこばやしさんの議論の内容を下記に掲載します。

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まず、以下のような問いかけから始まりました。

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与贈は give と言う表現では表せないのではないでしょうか?

なぜそう思うかというと。

与えるとは、与える側と与えられる側と分かれていることが必要ですよね。

しかし、与贈は、非分離な関係から生まれるものだと考えるからです。

このことについて考えてみませんか。

===

 

話し合いについては、まとめられませんので、中で出てきた話を断片的では

ありますが、記しておきます。

 

存在者(存在するもの)として捉えると、give になってしまう。

存在として捉えることが大切になる。

非分離とはどういうことか…?

それは、存在者が、どういうストーリーの中で存在しているのか、

ということを考えてみる必要がある。

そこに意味があるかということだ。

大切なことは、〈時間〉だ。

ただし、ここでいう〈時間〉は、存在者(存在するもの)の時間ではない。

(時計で計る時間ではない。)

存在の時間の中に在ること。

場の時間と言ってもよいかもしれない。

場の時間を作りながら生きていっていると言えるだろう。

歴史的時間だ。

場の時間の中で、与贈によって未来が表れてくる。

未来はここにあるよ、と。

その未来へ向かっていく。

未来から来る時間に乗っていくこと。

こういうことからすると、場の理論は、即興劇の理論と言ってもよいかも

しれない。

大きなストーリーの即興劇…。

ところで、ストーリーとはなんでしょうねぇ?

 

キーワード:

与贈 not= give

非分離

存在

意味

時間

歴史的時間

give ( I give to you.)

(I と you は、)分離している

存在するもの(としての I と you)

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というような議論をいたしました。

以上

 

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この後は清水所長の資料ベースの勉強会となりました。

勉強会テーマ:「私は地球であり、地球は私である」

配布資料を掲載いたします。

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 人工衛星から地球をながめると、土も、水も、空気も、雲も含めたものが、地球であることがよく分かります。そればかりではありません、植物も、動物も、したがって人類までも含めたものが存在者としての地球という天体なのです。そのために天体としての地球の厳密な定義には、あなたも、また私も含め
なければならないのです。

 

そこで問題となるのは、地球と私やあなたの存在における関係、分かりやすく言えば〈いのち〉の関係です。もしも地球の存在を、自己を含めてまるごと、主客非分離的に捉える人が現れて、「私は地球である」と言ったときに、「それは嘘だ」と頭から反論できず、その妥当性を確かめなければなりません。それでは、もしも地球の存在を本当にその人が主客非分離的にまるごと捉えているとすると、その人にとって地球をどのような存在として表現できるでしょうか。それは居場所としての地球の存在を、その居場所の一部としての生きものが表現することと関係があります。

 

家族にとって家庭は自己の存在を包む居場所ですが、それでも自己の存在のすべてを包むとまではいきません。家庭の外での社会における生活も、家族にとっては大切ですが、家庭にはその活きがないからです。それでは、ある人の存在のすべてを包む居場所は、その人にとってどのような存在になるのでしょうか?


それは内面に生まれるすべてを含めて、その人の存在のすべてを包む「どこまでも超越的なるとともにどこまでに内在的、どこまでも内在的なるとともにどこまでも超越的」(西田幾多郎)な存在であるはずです。つまり、地球は自己の内なる「絶対の他」として意識され、「自己成立の根元からおきるどこまでも逆対応的なはたらき」をしているのです。その活きと非分離な存在であるその人は未来の方から人びとに活きかけていく行為をし続けていることになります。

 

 「私は地球であり、地球は私である」という人の存在は、矛盾なく地球に受け入れられますから、そのことは、それが人間の地球における根源的な存在原理になることを意味しています。西洋の近代では、人々は地球を未開の対象物であると見なし、その地球を征服することを目指して近代文明を進めてきました。その結果、近代文明の発展と共に環境破壊が進み、さらにCO2の温室効果によって地球の温暖化が進行して、このまま進めば人類の地球における生存が不可能になっていくことも否定できなくなってきました。

 

地球における人類の存在にとって重要なことは、「私は地球であり、地球は私である」という根源的存在原理から、居場所としての地球と人間の存在の関係を、人間の内面に隠れている関係性を含めて明らかにしていくことです。

 

スウェーデンから大西洋をヨットで渡って来た少女グレタ・トゥーンベリが国連で、「人類の絶滅を前にして、お金のことと経済発展が何時までも続くというおとぎ話に心を奪われている大人たち」に厳しい怒りを向け、地球の温暖化に対する科学者たちの声に耳を傾けて生きよと主張しました。その根底には、「私は地球であり、地球は私である」という根源的存在原理がはたらいて、彼女にそれを表現させていると考えることもできます。

 

私たちが「私は地球であり、地球は私である」という根源的存在原理に立って未来を見たときに、地球は未来の方から私たちにどのような生き方を示唆してくるでしょうか?そこに見えてくるものは、共存在深化という大きな〈いのち〉のドラマを地球の上で演じていくことです。地球の至るところにその舞台はあり、そこで私たちが〈いのち〉のドラマを即興的に演じることを待っているのです。

 

(2019.10.18  場の研究所 清水 博)

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■11月のイベント:「哲学カフェ」と「勉強会」について

 

・2019年11月の「哲学カフェ」のご案内

既にメールおよびホームページではお伝えしておりますが、今回は第2水曜日ではなく、下記に変更しましたのでご注意ください。

◎日時:11月8日(金曜日)14時から17時ごろ

◎場所:場の研究所(地下会議室) 

 特定非営利活動法人 場の研究所

 住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3

 TEL:03-5980-7222

◎会費:2000円

◎参加申込方法と詳細:

下記「場の研究所の哲学カフェ」ページをご覧ください。

また、参加申込は、同ページ申込フォームよりお申込ください。

https://www.banokenkyujo.org/cafe/

 

 

・2019年11月の「勉強会」のご案内

従来通り、第3金曜日に北大塚の「場の研究所」で勉強会
を開催いたします。
◎日時:2019年11月15日(金曜日)
 15時から19時30分までの予定です。
(従来通り15時からワイガヤ的に議論を進めて17時より勉強会を行います。)

◎勉強会テーマ:
仮題:「居場所におきる時間の相互誘導合致」

 

場所:特定非営利活動法人 場の研究所
住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3
Email:info@banokenkyujo.org

参加費:会員…5,000円 非会員…6,000円
申し込みについては、毎回予約をお願いいたします。
  (なお、飛び入りのお断りはしておりません。)

■編集後記
 10月にホームページにご案内した、シンポジウムの内容についての情報はご覧いただけたでしょうか?清水所長以外の方々の講演内容と「〈いのち〉のオアシスを考える対話の時間。」についても、会員の小山氏がまとめて掲載をして

くださいました。感謝いたします。ご希望の方は、下記のURLからご覧いただけると思います。

 


場のシンポジウム2019

【講演】

清水博

https://note.mu/bloomconcept/n/n851e60909f79

高山千弘

https://note.mu/bloomconcept/n/n32a6f984ec09

田中元子

https://note.mu/bloomconcept/n/n74e9bd758b4b

松田ユリ子

https://note.mu/bloomconcept/n/n4f3aa55d0c4a

【対話の時間】

〈いのち〉のオアシスとその活きについての話し合いの場

https://note.mu/bloomconcept/n/na6390d3608fd

 

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なお、10月の勉強会は「私は地球であり、地球は私である」というテーマで、参加メンバーの意見も多く交わされて、中身の濃い議論となりました。参加の方々ありがとうございました。

11月は、「哲学カフェ」が都合により、11月8日の金曜日になりますのでご注意ください。勉強会は第3金曜日の11月15日開催予定です。申し込みはホームページよりお願いいたします。

 

 

定非営利活動法人 場の研究所
住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3
電話・FAX:03-5980-7222
Email:info@banokenkyujo.org
ホームページ:http://www.banokenkyujo.org