※「続きを読む」ボタンをクリックすると各「福島からの声」の全文を読む事ができます。
今回の「福島からの声」は、詩人、鈴木正一さんの詩集「あなたの遺言~わが浪江町の叫び~」から「ふるさとの終(つい)の住処」をご紹介させて頂きます。
私たちの身体に〈いのち〉があるように、「ふるさと」という舞台にも長い歴史を刻み込んだ深い〈いのち〉があります。そこに暮らす人々それぞれが役者となって、活き活きとした〈いのち〉のドラマを演じてきたことで、温かで、それでいて懐かしさのある「ふるさと」という舞台が創られてきたのです。
しかしながら、国や東電から示される廃炉までの途方もないロードマップ一つとっても、処理水、燃料デブリの取り出し、建屋の解体、放射性廃棄物処理の問題など、人々の声の聞こえない、物質面の策しか見えてきません。
この原発事故によって根こそぎ奪われてしまったもの。
それは、単なる廃炉や除染からだけでは決して見えてくることのない、生きていくための居場所であり、そして大切な「終の住処」としてのふるさとの舞台の〈いのち〉そのものであるということ。
そのことを鈴木さんの詩から改めて強く感じさせられ、そして深く問いかけられるのです。
(本多直人)