福島からの声


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2018年分

福島からの声 2019年6月号

今回の「福島からの声」は、継続してご協力頂いております詩人のみうらひろこさん(本名:根本洋子さん)のご協力により、合同詩集「あんだんて」第十集から、本名の根本洋子さんとして投稿されている短歌を抜粋してご紹介させて頂きます。

オリンピックを来年に控えて、新聞やテレビでは「復興五輪」にあやかった様々なイベントや活動が盛り上がりつつあります。しかし、その一方で、先の見えてこない原発の廃炉工程や、汚染水処理問題、そして見えないかたちで拡がる放射能による人体への影響への不安など、私たちの〈いのち〉に直結する問題がいつの間にか陰に追いやられてしまいがちになっていることに未来への大きな不安を感じずにはいられません。

福島の問題は、そのまま世界の人々やいきものたちの〈いのち〉の居場所の問題です。

根本洋子さんの短歌には、ライフラインの復旧が進んだことや、新しい建物が出来たことなどの表面から見た復興の姿ではなく、そこに暮らす方々の心の内から感じられている本当の意味での居場所の今の姿が映され、表現されています。私たちは、この貴重な声を決して聞き漏らしてはなりません。

宮澤賢治は、農民芸術概論網要の中で「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」と書いています。私たちは福島原発の問題を、未来の子や孫たちの〈いのち〉の居場所の問題、世界全体の問題として、これからも厳しく問い続けていかなくてはならないのです。

(本多直人)

 

 

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福島からの声 2019年春号

今回の「福島からの声」は、継続してご協力頂いております、詩人のみうらひろこさん(本名:根本洋子さん)の詩をご紹介させて頂きます。

みうらさんは、先日、白鳥省吾(しらとりせいご)賞最優秀賞(*)を受賞されました。

今回はその受賞作となった詩「千年桜」を掲載させて頂きます。

この「千年桜」のモデルは、福島県三春町の有名な「滝桜」とのことです。

原発事故の問題はその多くが人間の立場から考えられていますが、このことで、ややもすれば、故郷の土を育んできた、たくさんの生きものたちの声や草木の声をないがしろにしてしまいがちです。

しかし、故郷の自然(居場所の〈いのち〉)とそこに暮らす人々の〈いのち〉は決して切り離して考えることは出来ません。今回のみうらさんの詩は、人間中心の目線ではなく、私たち自身が「千年桜」の立場、すなわち居場所の〈いのち〉の立場に立って未来を問いかけてくれる作品となっており、その言葉の響き一つひとつに深い感動を覚えずにはいられないのです。

(本多直人)

 

*白鳥省吾:

明治二十三年二月二十七日宮城県栗原郡築館町(栗原市築館)に生まれる。明治三十五年築館中学校入学、明治四十年卒業。明治四十二年、早稲田大学英文科入学。大正二年卒業。旧制中学在学中より詩を作り始める。大学三年の時に「夜の遊歩」で詩壇にデビュー。大正三年処女詩集『世界の一人』を自費出版。これ以後詩人として活躍。独自の詩論を展開し、数多くの詩集、民謡集、評論集、随筆集、童話・童謡を残す。

(白鳥省吾を研究する会HPより抜粋)

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福島からの声 2019年1月

今回の「福島からの声」は、前回に引き続き、合同歌集「あんだんて」第十集の中から、根本洋子さんの短歌をご紹介させて頂きます。

震災後8年目、そして平成最後の年となった今年、3日には熊本で震度6弱の地震が発生し、原発を抱える地域の方々はもちろん、私たちにとっても日本全体の原発政策への不安をますます募らせるものとなりました。

地震、火山活動、台風、大雨。日本人はこうした厳しい自然と向き合いながら、暮らしを営み、歴史を創ってきたのです。このことを私たちは改めて心に刻みながら、未来の居場所の在り方を問い続けていかなくてはなりません。

根本さんの短歌からも伝わってくるように、福島原発事故の問題は、まだ何も終わっていません。これほどまでに重要な問題の本質を置き去りにし、十分な反省のないままに、未来を描くことなど決して出来ません。オリンピックや、実体の伴わない好景気に目を奪われ、私たちの存在を脅かし続けている本当の問題を置き去りにしまうことのないよう、そして決して風化させることないよう、「福島からの声」に心の奥底から耳を傾け、短歌の中にあるオリ-ブに込めた願いを持って復興への一歩を進めていくことがますます求められているのです。

 

(本多直人)

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